ロボアドバイザーをお薦めしない3つの理由!AIは人間に勝てる?

ロボアドバイザー

皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの渡邊です。最近、ネット証券の口座開設が急増しているというニュースを目にします。おそらく、今まで資産運用をしてこなかった若い世代が、投資をしようと口座開設をしているのでしょう。私はFPとして資産運用を専門に教えていますので、多くの人が投資に興味を持つようになったことに対してすごく嬉しい気持ちです。そこで今日は、お手軽投資として人気があるロボアドバイザーに関して書いていきます。私は個人的に、ロボアドバイザーを絶対に使いませんし、気軽に利用するべきではないと思っています。まずはロボアドバイザーとは、どのような仕組みなのか概要を説明します。そして最終的に、どのようなリスクがあり、なぜ私がお薦めしないのか理由をお伝えします。投資で失敗したくない人は、ロボアドバイザーの利用を検討する前に、このブログを読んでサービスの概要とリスクを理解することをお薦めします。

目次

ロボアドバイザーとは

ロボアドバイザーの仕組み

ロボアドバイザーとは、投資の知識が全く無くても気軽に投資を始めることができ、あなたの代わりにロボット(AI)が全て運用をしてくれるサービスです。ロボアドバイザーの発祥はアメリカで、2007年〜2008年頃から本格的なサービスが開始されました。そして約10年後…2016年に日本でもロボアドバイザーのサービスが開始しました。日本でのロボアドバイザーの実績は、わずか数年しかありません。ロボアドバイザーを利用しているのは、2000年以降に社会人となったミレニアム世代が中心といわれています。30代〜40代の比較的若い世代の資産形成手段として、AIを活用したロボアドバイザーが活躍しているようです。ロボアドバイザーの利用手順はとっても簡単です。

  1. ロボアドバイザーの口座開設をする
  2. 簡単な投資の質問に答える(リスク許容度を測定)
  3. 入金をする
  4. 自動でポートフォリオを作成
  5. 運用がスタート
  6. 自動でリバランス(商品の売買)

ロボアドバイザーを利用するためには、口座を開設していくつかの質問事項に回答をします。あとは、入金をするだけです。あなたのリスク許容度に応じて、自動でポートフォリオが作成され、資産配分の調整も自動で行ってくれるのです。その為『全自動でお任せ』サービスを売りにしています。あなたの金融知識が全く無くても、人工知能(AI)があなたに代わって資産運用を行ってくれるのです。それでは、日本でサービスが受けられる主なロボアドバイザー4社を比較してみましょう。

ロボアドバイザー4社を比較

2016年から本格的にサービスが開始された日本のロボアドバイザーを比較してみましょう。

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WealthNavi(ウェルスナビ)

2016年1月からサービスを開始したWealth Navi(ウェルスナビ)は、2020年7月時点で預かり資産2600億円、31万口座と国内No.1のロボアドバイザーとなっています。最低10万円から利用でき、毎月の積み立ては1万円からとなっています。費用は、預かり資産の1%です。預かり資産が3,000万円を超える部分は0.5%の割引手数料が適用されます。手数料とは別にETF保有コストの実質的な負担がかかります。

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THEO(テオ)

2016年2月からサービスを開始したTHEO(テオ)は、2020年2月時点で預かり資産600億円、11万口座と国内No.2のロボアドバイザーとなっています。最低10万円(2020年4月7日正午以降)から利用でき、毎月の積み立ては1万円からとなっています。費用は、預かり資産額の0.65%〜1.00%です。預かり資産が3,000万円を超える部分は0.5%の割引手数料が適用されます。手数料とは別にETF保有コストの実質的な負担がかかります。

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楽ラップ

2016年7月にサービスを開始した楽ラップは、5万人以上の利用者がいます。最低1万円から利用でき、毎月の積み立ては1万円からとなっています。費用は、固定報酬型と成功報酬併用型の2種類があります。固定報酬型は、投資顧問料プラス運用管理手数料の手数料体系となっており、投資顧問料が0.165%、運用管理手数料が預かり資産額の0.385%〜0.550%で、合計最大で0.715%となっています。成功報酬型は、投資顧問料プラス運用管理手数料プラス運用益の5.5%の手数料体系となっており、投資顧問料が0.055%、運用管理手数料が預かり資産額の0.385%〜0.550%で、合計最大で0.605%プラス運用益の5.5%となっています。手数料とは別に、投資信託保有コストの実質的な負担がかかります。

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ON COMPASS(オン・コンパス)

2016年9月にマネラップという投資一任サービスを開始し、2020年4月にON COMPASS(オン・コンパス)に名称変更をしたロボアドバイザーです。最低1,000円から利用でき、毎月の積み立ては1,000円からとなっています。費用は、預かり資産額の0.925%です。ON COMPASSのみ、保有するETFのコストを含む手数料で、別途かかる手数料はありません。

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日本のロボアドバイザーの特徴をまとめると、約1%の手数料を支払って頂ければ、あなたの代わりにAIが資産運用を行い、金融商品の売買から資産配分の調整まで全てお任せで行うサービスということです。

ロボアドバイザーのメリット

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーの最大のメリットは、AI(人工知能)による自動投資です。その為、どんなに投資に対する知識が無くても、金融工学に基づいたAIが自動的に資産の買い付けや売却をしてくれるのです。従って、相場の上昇や下落に一喜一憂することなく、資産形成ができるのです。ロボットが自動的にポートフォリオを作成してくれて、金融商品の買い付けや売却も自動的に行ってくれるのです。経済や金融の勉強もする必要がありません。特に、投資初心者の方には、全てAIにお任せして投資ができるので、一定の役割を果たすのかもしれません。しかし、本当にロボアドバイザーは有能なサービスなのでしょうか?私は、ロボアドバイザーを安易に利用するのはお薦めしません。それは、ロボアドバイザーにも弱点があるからです。なぜ私がロボアドバイザーの利用をお薦めしないのか、具体的な理由をお伝えします。

ロボアドバイザーをお薦めしない3つの理由

ポイントの解説

私がロボアドバイザーをお薦めしない理由は3つあります。1つ目は、AIの弱点です。人工知能と聞くと、いかにも絶対的に優れたサービスであるようなイメージを持ちます。しかし、優れたAIが開発されればされるほど、AIにも弱点が出てくるのです。2つ目は、リターンの減少です。ロボアドバイザーが1社しかなければ良いのですが、各企業が次々にロボアドバイザーのサービスを導入してきています。するとある理由から、投資リターンが減少する可能性が高いのです。そして3つ目は、投資知識が全く身に付かないということです。投資の世界では『分からないものに投資をするな!』と言われています。AIに全てお任せの全自動投資と聞くと聞こえは良いですが、本当にそれで良いのでしょうか?

AIの弱点

人間が投資を行うと感情が入り、機動的に売買ができないと言われています。例えば、相場が上昇していると「もっと上がるのでは…」と思います。反対に相場が下落していると「まだまだ下がるのでは…」と思います。投資をしている人であればどんな人でも、買っておけばよかった…と思ったり、売っておけばよかった…という経験はありますよね。何の根拠もありませんが、相場感や値頃感などの感覚を人間は持っています。しかし、AIは違います。人工知能に感情はありません。その為、金融工学のデータに基づき、淡々と売買をするのです。人工知能には、ディープラーニングという機能があります。ディープラーニングとは、深層学習といわれていて、十分なデータが蓄積されれば、人間の脳みたいに過去の経験を活かした行動がとれるというものです。その為、人工知能は常に進化していると言えるでしょう。しかし、AIは必ずしも人間とだけ勝負をするのではありません。各社がロボアドバイザーのサービスを導入してきたように、今後は、AI vs AIの勝負をして勝ち残ったサービスのみが優秀という構図になります。その為、ロボアドバイザーの中でも、投資のパフォーマンスに優劣が出てきて、AIに任せているにも関わらず、全く資産が増えない…むしろ、損失が出たというような事態に陥る危険性もあるのです。

リターンの減少

各社が次々にロボアドバイザーのサービスを導入してきている点も気掛かりです。ロボアドバイザーが世界に1社しかなく、AI vs 人間という構図であれば、もしかするとAIが勝つのかもしれません。しかし現実は、AI同士の戦いが行われているのです。先程説明したディープラーニング機能は、優秀な人工知能を作るためには必須です。どんどん優秀なAIが出てくると、どうなると思いますか?おそらく、一人勝ちをするAIが出てきて、AIサービスの優劣が激しくなるか、あるいは、全てのAIサービスが平均化してしまうのどちらかになるはずです。投資家の立場から考えると、一番利益が出るロボアドバイザーに資産を預けたいと思いますよね。すると企業は、他社に必ず勝てるようなサービスを導入したいと思うはずです。どこの企業も『業界No.1のリターン』を実現できるロボアドバイザーサービスを目指すでしょう。そうすると結果的に、AIに差別化がなくなり、どのサービスも似たようなリターンしか取れなくなります。ロボアドバイザー各社のホームページを見ると、20年後や30年後の想定リターンが記載されています。しかし、毎年、今までと同じリターンが稼ぎ出せるとは限りません。もし、想定リターン通りの結果が出せるのであれば、全資産をロボアドバイザーに預けてお任せしておけば、老後の不安は解消しますし、そもそも、働く必要もなくなってしまうかもしれません。

投資知識が身に付かない

ロボアドバイザーを利用すると、初心者の人でもAIにお任せで簡単に投資ができるメリットはあります。しかし、自分が保有している商品の特徴や経済状況を理解していますか?『自分が理解していないものに投資をしない』ということは大切なことです。ファイナンシャル・プランナーとしてマネーコンサルをしていると、多くのお客様が自分が購入した商品を全く理解していないことに驚かされます。「銀行や証券会社に勧められたから」という理由で金融商品を購入して、損失が出て悔やんだ経験はないでしょうか?AIを信頼してロボアドバイザーに任せっきりにして損失が出た場合、ロボットは責任を取ってくれません。投資は自己責任です。あなたの資産はあなた自身で守るしかないのです。全く投資の知識がない人が気軽に投資の世界に足を踏み入れるのは、少し危険な感じはします。もしも資産形成をしようと思ったら、まずは、自分で勉強することが大切です。ロボットに頼らず、自分自身で投資をすることで学べることもたくさんあるのです。投資をすると、日々のニュースに敏感になったり、新聞やブログなどで情報収集をするようになります。そうすると、少しずつ投資知識が身に付いてくるのです。

自分で考える習慣が大切

ファイナンシャルプランナー

何事も自分で考える習慣を身に付けることが大切です。投資に限らず、興味を持ったことにチャレンジしてみて下さい。失敗から学ぶこともたくさんあるのです。IT技術などが進化して、私たちの生活はとても便利になりました。しかし、全てをAIやロボットに任せるのではなく、上手く人間と情報技術を共存させることが必要です。資産形成をする時に最も賢い方法は、ネット証券を活用し、自分自身で投資を行う方法です。そうすれば、無駄なコストを支払わず、自分自身のライフプランに合わせた資産形成ができます。もしも資産運用を始めたいけれど、誰に相談して良いのか分からないという人は、マネー教育のマネージュまでご相談下さい。全国どこでも対応いたします。マネージュでは、中立的なファイナンシャル・プランナーとして、マネー教育に特化したコンサルティングを実施しています。少しでも興味を持って頂けた方は、公式LINEへの登録と、セミナー、コンサルにお申し込み下さい。あなたのお役に立てるように、全力でサポートさせて頂きます。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー/世界最大手、スイスのプライベートバンク勤務時代には、金融資産2億円以上の日本を代表する経営者、開業医、事業法人の資産管理を担当。現在は、一般の方から経営者、開業医などの富裕層まで、幅広い顧客にマネー教育に特化したファイナンシャル・プランニング業務を提供している。

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