皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの渡邊です。今日は、9月から始まるマイナポイントに関して書いていきます。マイナポイント制度とは、2020年6月末でキャッシュレス還元が終了したことを受けて、新たに2020年9月からスタートするポイント還元制度です。『25%還元』という破格のポイント還元率ですが、果たして、本当にお得なのでしょうか?マイナポイント制度の概要と、3つのリスクについて一緒に考えていきましょう。
マイナポイントの概要
マイナポイント制度とは、マイナンバーカードを取得してお好きなキャッシュレス決済に紐付けをすることにより、ポイント還元を受けられるものです。2020年9月から2021年3月の期間内に、2万円分のチャージもしくは、キャッシュレスにて買い物をすると、25%分のポイント還元が受けられます。6月で終了したキャッシュレス還元が5%でしたので、25%還元というと何だかものすごい還元率のように思えますが、マイナポイント制度は、一人あたり上限5,000円と決まっています。その為、あなたが何十万円もキャッシュレスで買い物をしても、5,000円分のポイントしか還元されません。そして、マイナポイント制度の予算は総額2000億円と決まっています。その為、2020年9月〜2021年3月の期間内でも、4000万人がマイナポイント制度を利用した瞬間に、ポイント還元は終了です。それでは、実際にマイナポイントをどのように申請、利用するのか手順を見ていきましょう。
マイナポイント利用手順
マイナポイントを利用するためには、いくつか必要なものがありますので利用手順を紹介します。
- マイナンバーカードの取得
- マイナポイントを予約
- マイナポイントを申込み
マイナポイント3つのリスク
マイナポイントを受け取る為には、キャッシュレス決済とマイナンバーカードの情報を紐付けしなければなりません。受け取れる上限金額が5,000円分のポイントに対して、あなたが取っているリスクが大きすぎます!今現在、マイナンバーカードを保有している人が少ないので、日本政府としては、なんとか4000万人にマイナンバーカードを普及させたいという思惑があるのでしょう。しかし私は、2021年3月末の期限までに、おそらくマイナポイントの予算上限である2000億円に到達することはないと思っています。すなわち、4000万人にマイナンバーカードが普及することはないと予想しています。なぜなら、マイナポイント制度には3つのリスクがあるからです。一体どんなリスクがあるのかを考えてみましょう。
手間がかかる
まず一つ目のリスクは、申請にとても手間がかかるということです。マイナポイント制度は、全国民が対象です。その為、マイナンバーを保有していれば、誰もが申し込むことが出来るのです。しかし、マイナンバーカードと紐付けをするキャッシュレス決済は、原則、本人のものしかダメなのです。未成年者は、保護者が代理でポイントを受け取ることが可能ですが、その場合も、また異なるキャッシュレス決済を紐付けしなければなりません。1マイナンバーに付き1キャッシュレス決済しか紐付けをすることができないのです。するとどうでしょう…ご高齢者の方々は、マイナポイント利用手順で示したような手続きができるでしょうか?そして富裕層の方々は、わざわざ5,000円分のポイントの為に、複雑な手続きをするでしょうか?このような手続きの煩雑さが、マイナポイント制度の利用に歯止めがかかる可能性が高いのです。
個人情報流出の危険
そして2つ目のリスクは、個人情報流出の危険があるということです。マイナンバーカードに含まれる情報は、あなたにとってとても大切な情報ばかりです。具体的には以下の通りです。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 性別
- 顔写真
- セキュリティコード
- 臓器提供意思表示
今のところはこのくらいの情報ですので、万が一、情報が流出しても即座に危険というわけではないかもしれません。しかし、日本政府は、マイナンバーに預金口座の情報なども紐付けさせようという狙いがあるのです。預金口座の情報が紐付けされてしまっては、あなたの金融資産の情報はすべて公開されてしまいます。気軽にキャッシュレス決済とマイナンバーカードの情報を紐付けするということは、あなたの大切な情報が流出してしまう危険性が高まるということです。マイナンバーカードを普及させ、様々な情報と紐付けをしてサービスの利便性を図るのであれば、よほど強固な情報セキュリティ対策が講じられてからではないと、私たちは安心して大切な情報を公開しようという気にはならないのです。
マイナンバーの悪用
そして三つ目のリスクは、マイナンバーの悪用です。マイナンバーカードに含まれる個人情報は、あなたにとって大切なものです。マイナンバーカードがあれば、様々な情報やサービスが利用可能です。どんなことが可能なのか、ほんの一例ですが確認してみましょう。
- 住民票の写しや印鑑登録証明書、戸籍証明書などが取得可能
- パスポート発行
- 銀行の口座開設
- 健康保険証として利用可能
一見すると便利なサービスですが、悪用されてしまう危険もあるのです。日本の場合は、万が一、12桁の個人番号が流出したとしても、パスワードも入力が必要な為、即座に悪用されるケースは少ないかもしれません。しかし、アメリカや韓国などでは、既にマイナンバーが悪用されてしまうケースが多々報告されています。例えば、年金の不正受給や失業給付金の二重受給、他人による銀行口座の開設、クレジットカードの不正使用などに使用されてしまったのです。今までの日本は、単純に、マイナンバーカードの保有者が圧倒的に少なかったので、大きな被害は出ていないだけです。今回のマイナポイントにより、もしも4000万人ものマイナンバーカード保有者がキャッシュレス決済と紐付けをした場合、日本でも諸外国と同様の被害が出てきても不思議ではありません。日本はサイバーセキュリティに関して、世界的にみても遅れをとっている状況です。果たして、本当に情報セキュリティに関して、安全なのでしょうか?
リスクとリターンを考える
物事を選択するときには、リスクとリターンを考えなければいけません。今回のマイナポイントのケースでいえば、リターンは5,000円分のポイントです。それに対して、リスクは情報流出の危険です。この2つを比べて、情報流出の危険があっても5,000円分のポイントを受け取りたいと思った人は、マイナポイントの申請をすれば良いと思います。しかし、5,000円分のポイントよりも自分の個人情報の方が大切だと思った人は、マイナポイントの申請をしない方が良いと思います。私は、申請の手間やその後のリスクを考えると、たった5000ポイントで大切な個人情報を危険にさらしたくありません。その為、マイナポイント制度の利用はしません。正し、人それぞれの価値観がありますので、ポイント還元を受けたいと考えている人は、個人情報の流出や悪用の可能性もあるということを認識した上で利用すれば良いと思います。いずれにしても、多くの国民が安心して制度を利用できるように、情報セキュリティを強化する必要はあると思います。今のところ自分の大切な個人情報は、自分自身で守るしかありません。まだマイナポイント制度は始まったばかりです。焦って申し込みをする前に、是非、リスクとリターンを考えてみて下さい。今までは、このブログで情報を更新していましたが、YouTubeチャンネルを立ち上げました。分かりやすく資産運用のやり方やマネー教育の大切さなどを動画で公開していますので、よろしければ『マネージュchannel』と検索をして、チャンネル登録を宜しくお願いします。このブログを読んで「家計の見直しや資産形成に関して相談したい」と思った方は、是非、お気軽に連絡を下さい。全国どこでも対応いたします。マネージュでは、中立的なファイナンシャル・プランナーとして、マネー教育に特化したコンサルティングを実施しています。少しでも興味を持って頂けた方は、公式LINEへの登録と、セミナー、コンサルにお申し込み下さい。あなたのお役に立てるように、全力でサポートさせて頂きます。