東京五輪マラソン札幌移転⁈費用は誰が負担する?

皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの渡邊です。東京五輪のマラソンが札幌開催に変更されるかもしれませんね。IOCのバッハ会長と小池都知事が揉めているようです。私はオリンピックチケットの抽選に全滅しましたので、どこで開催してもTVでしっかり応援します。様々な利権で決めるのではなく、選手が一番やりやすい条件で行って欲しいですね。そこで今日は、オリンピックの費用負担で考えるMMT理論(現代貨幣理論)の有効性に関して書いていきます。「なんだか難しい言葉が出てきな」とお思いのあなたはこのブログを読んで下さい。ニュースや新聞を読んでいれば必ず聞いたことがあるMMT理論を、小学生でも分かるように簡単に説明します。今注目されている時事問題を理解することは、現代社会を生きる上でとても大切なことだと思いますので、しっかり勉強していきましょう。

目次

東京オリンピックの費用

2020年の東京オリンピックまで1年を切りました。あなたは、東京オリンピックの当初の予算と現在の予算を知っていますか?2020年のオリンピックが東京に決まったのは2013年です。滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」スピーチは、まだ記憶に新しいと思います。当時の予算案は約7000億円でした。できるだけ無駄を省き、世界一お金のかからない五輪にするというコンセプトで、キーワードは”コンパクト”でした。それが、蓋を開けてみれば…現在の予算は約3兆円です。これらの資金には、税金が使われているのです。

レガシー or 負の遺産

オリンピックではアスリートの皆さんに、豪華で最新の設備の中で競技を行って欲しいという思いもあります。その為、どうしても莫大な建設費用がかかってしまうのです。ここで主な施設の建設費を確認してみましょう。

  • 東京アクアティクスセンター…567億円
  • 有明アリーナ…370億円
  • 海の森水上競技場…308億円

このようにして見るとすごい費用ですね。4年に一度のオリンピックですので、莫大な建設費用も仕方がないような気もします。アスリートにとってみれば、4年間必死の思いで練習を重ね、ようやくたどり着ける輝かしい場所なのです。オリンピックに出場するだけでもすごいことですし、東京開催でメダルを取ることができれば、一生の思い出にもなるのです。しかし問題なのは、オリンピックが終わった後です。アスリートにとっての豪華な施設は良いですが、一般人にとっての豪華な施設は必要ですか?五輪のために建設されたほとんどの施設が、オリンピックが終わると赤字に陥るのです。私たちの大切な税金を使って建てた施設が赤字になってしまうのです。そこで考えて頂きたいのが、冒頭に出てきたMMT理論です。

MMT理論とは

あなたは、最近密かに注目を集めているMMT理論(現代貨幣理論)という言葉を知っていますか?ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が提唱者であり、Modern(現代)Monetary(貨幣)Theory(理論)の略です。難しそうな言葉ですが、MMT理論を簡単に説明すると、インフレにならない限り、財政赤字は何の問題もないという理論です。自国通貨を持つ国がいくら自国通貨建てで国債を発行しても財政破綻はしないので、政府はどんどん資金を供給して景気を良くしてあげなさいということです。言い換えると、日本は日本円という自国通貨を使用しているので、どんなに国債を発行して財政赤字が増えても、日本は絶対に破綻しないということです。すごい理論ですよね…しかし、そんな都合の良いことが本当にあり得るのでしょうか?私はMMT理論に反対です!そんな夢物語のような世界があるわけがないのです。MMT理論が通用するのであれば、こんな世界を想像してみて下さい。

世界中でバラマキ

先ほど、自国通貨を持つ国がいくら自国通貨建てで国債を発行しても財政破綻はしないと書きました。もしもこれが本当であるならば、まずユーロを解体します。そして、全世界の196か国が、それぞれ自国通貨を発行します。次に、それぞれの国で自国通貨建ての国債を発行し続け、世の中に大量に資金を供給します。財政赤字を気にしなくても良いのであれば、政府がお金を刷って世界中にバラマキます。すると、私たちの生活はものすごく快適になりますね。公共施設は全て最新設備ですし、造って欲しい施設などがあれば政府に要望して建ててもらえば良いのです。欲しいものは全部、政府が与えてくれるのです。国の予算が足りなくなれば、永遠に国債を発行し続ければ良いのですから、今日本で問題になっている少子高齢化による社会保障費の増加も気にする必要がありません。年金が足りなくなったら、政府からもらえばいいのです。老後の心配もいらないですね。子育て費用も足りなければ、政府に出してもらえば良いでしょう。そうすれば、少子高齢化も一気に解消するはずです。

全ての税金を廃止

財政赤字を気にしなくても良いのであれば、いっそのこと全ての税金を廃止してみてはどうでしょうか。消費税だけではなく、法人税や相続税、贈与税など…ありとあらゆる税金を全て廃止します。少しでも税金を支払いたくないという考えから脱税や節税をする人がいますが、税金を廃止してしまえば、わざわざそんなことをする必要もないのです。支払う税金がなくなれば、世界中の人がお金を消費に回すようになります。人間には物欲があるため、お金の心配がいらないのであれば、ありとあらゆるものを買うでしょう。そうすれば毎年、世界的に景気が良い状態が続くことになりそうですね。株価も毎年上がりますし、儲かったお金を消費に回すため、永遠に続くバブル景気が到来します。少し話がそれましたが、どうして私たちはオリンピックの費用のことを気にするのでしょうか?無限に借金ができるのであれば、マラソンの札幌開催にかかる費用くらい、IOCでもJOCでも、日本政府でも東京都でも…誰でも支払えば良いのではないでしょうか?しかし現実は、誰も支払いたくないのです。

お金は有限

今回の札幌への開催地変更に関するコストについては、東京都は1円も出さないと小池知事は主張しています。結局、お金というのは有限だということです。無駄なお金は1円たりとも払いたくはないですし、浪費ばかりしていれば、いずれ資金はなくなり、都の財政や国の財政が悪化をしてしまうのです。だからこそ、当初は”コンパクトなオリンピック”を開催しようとしていたのではないでしょうか?MMT理論は長期的に考えれば、絶対に成り立ちません。今回のオリンピック騒動を見ていれば、どれだけ資産というものが貴重で、どれだけコストを払いたくないのかがよく分かると思います。もしも、MMT理論が成り立つのであれば、財政赤字は気にしなくて良いはずですので、私はこんなオリンピックを提案します。

夢のようなオリンピック

もしも財政赤字を気にする必要がなければ、私はこんなオリンピックを提案します。

  • 選手強化費を増大し、トップアスリートを養成する
  • 選手の生活費を完全に保証し、競技に専念できる環境を与える
  • オリンピック施設の予算も300兆円くらい使って、世界最高の施設を建設する
  • 日本国民には無料でオリンピック観戦ができるフリーパスを与える

このように資金が無限にあれば、アスリートの完全サポートができます。全競技でメダル獲得を目指せるかもしれません。しかし、現実的にはこのようなオリンピックは実現しません。資金には限りがありますし、オリンピックが終わった後の施設の収益なども考える必要があるからです。お金を含む全てのモノは、需要と供給のバランスで値段が決まります。お金を大量に刷れば、お金の価値が下がり、必ずインフレが起きるのです。だからこそ、無駄なコストは払いたくはありませんし、コンパクトなオリンピックを掲げたのです。巷で注目されているMMT理論は、絶対に成り立たないのです。私たちもしっかりと税金の使い方を監視し、政治家には無駄のない政策を実行して欲しいと思います。このブログでは、資産形成に関連するマネー教育や経済ニュース、時事問題を独自の視点で分析し、分かりやすく読者の皆さんに伝えられるように書いていきます。ブログを読んで「家計の見直しや資産形成に関して相談したい」と思った方は、是非、お気軽に連絡を下さい。全国どこでも対応いたします。遠方のお客様は、zoomというアプリを利用して、お互いのパソコンの画面を見ながらコンサルを行います。マネージュでは、中立的なファイナンシャル・プランナーとして、マネー教育に特化したコンサルティングを実施しています。少しでも興味を持って頂けた方は、公式LINEへの登録と、セミナー、コンサルにお申し込み下さい。あなたのお役に立てるように、全力でサポートさせて頂きます。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー/世界最大手、スイスのプライベートバンク勤務時代には、金融資産2億円以上の日本を代表する経営者、開業医、事業法人の資産管理を担当。現在は、一般の方から経営者、開業医などの富裕層まで、幅広い顧客にマネー教育に特化したファイナンシャル・プランニング業務を提供している。

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