老後がヤバイ⁉︎年金や退職金が減額…早期対策をせよ!

皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの渡邊です。今日は、老後2000万円問題でも話題になった日本の公的年金制度+退職金に関して書いていきます。残念ながら少子高齢化が進む現在の日本では、サラリーマンの年収が、毎年毎年面白いように上がる時代ではありません。しかしながら、2019年10月1日には消費税増税が実施されました。入ってくる収入が上がらず、出て行く支出は増えていく。そして、公的年金制度も改革が行われ、将来受け取る年金の減額、もしくは、年金受給年齢の引き上げが予想されます。そんな老後不安に備えるために、国や企業は様々な優遇措置を提供してくれています。しかし、あなたは優遇制度をしっかり活用できていますか?お金に関する知識を、知っているのと知らないのでは、将来かなりの格差が広がってしまいます。老後破産をしないためにも、しっかりお金に関する知識を学んでいきましょう。

目次

日本の公的年金制度

あなたは、日本の年金制度に関して知っていますか?日本は、国民皆年金制度を採用しています。その為、あなたが年金の受給額に満足か不満足かは分かりませんが、最低限の年金はもらえます。当初は、サラリーマンなどが加入する厚生年金だけでした。その為、自営業者や農林漁業者は公的年金に加入できなかったのです。しかし、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金が1961年にスタートし、現在では、全ての日本国民は何かしらの年金を受け取れるようになったのです。現在の年金制度は3種類に分けられています。

  1. 国民年金(20歳以上の全ての国民が加入)…1階部分
  2. 厚生年金(会社員と公務員が加入)…2階部分
  3. 私的年金(企業年金やiDeCoなど)…3階部分

国民年金…1階部分

1階部分の国民年金は、原則、全ての国民がもらえる年金です。20歳から60歳までの40年間、しっかり保険料を収めた人は、満額で月額65,000円程もらえます。しかし、年金を未納していた期間などもある為、国民年金の平均受給額は月額55,000円となっています。自営業者の方で、老後対策を全くしていない場合は、国民年金しかもらえません。国民年金だけで生活をしていくのは、現実的に考えて無理だと思われます。

厚生年金…2階部分

2階部分の厚生年金は、会社員や公務員がもらえる年金です。厚生年金は、国民年金と違い、就業していた時の平均収入によって、将来もらえる年金額が異なるのが特徴です。厚生年金の平均受給額は月額145,000円となっています。男女別の収入格差もある為、男性の平均受給額は165,000円、女性の平均受給額は100,000円となっており、女性の社会進出が進んでいるとはいえ、出産や育児のために働くことができない期間がある女性の方が、厚生年金が低く抑えられている現状があるのです。

私的年金…3階部分

3階部分の私的年金は、企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などをご自身でやっている場合のみに上乗せされる年金です。将来の年金を自分で作るため”自分年金”と言われています。国民年金と厚生年金で足りない人は、早期に私的年金の対策をしなければ、安心した老後は過ごせないということです。残念ながら、国民年金と厚生年金の公的年金部分は、今後は横ばいもしくは受給額の減少が予想されています。

長生きリスク

現在の日本人の平均寿命は何歳か知っていますか?日本の平均寿命は、男性が81.25歳、女性が87.32歳で、香港に次ぐ世界第2位なのです。医療の進歩によって、私たちは長生きができる時代になりました。しかし、長く生きるということは、それなりにリスクもあるのです。因みに、1960年の平均寿命は、男性が65.32歳、女性が70.19歳でした。

  • 男性の平均寿命:1960年…65歳→2018年…81歳
  • 女性の平均寿命:1960年…70歳→2018年…87歳

約60年の間に、17歳ほど平均寿命が延びていることが分かります。1961年に公的年金制度を創設した時は、”今まで働いてくれてありがとう。定年後、寿命までの約10年間くらいは、政府が面倒を見ますよ”というものでした。しかし現在はどうでしょう?定年後、25年も政府は面倒を見きれるのでしょうか?「平成30年簡易生命表」によると、90歳まで生存する割合は、男性で26.5%、女性で50.5%となっています。人生100年時代と言われていますが、現在の年金制度がこのまま持続可能かどうかはかなり疑問です。

社会保障費の拡大

社会保障費とは、医療や介護に使う費用のことです。平均寿命が延びたことに伴い、当然ですが、医療や介護に使う費用も拡大しています。長生きリスクに対応しなければ、国も家庭も自己破産してしまいます。基本的には、入ってくる収入の範囲内で生活をするのが当たり前です。日本政府は、少子高齢化の対策をしっかり行っているのでしょうか?1990年度の日本の国家予算は66.2兆円で、社会保障費は11.6兆円です。一方、2019年度の日本の国家予算は101.5兆円で、社会保障費は34.1兆円です。

  • 国家予算:1990年度…66.2兆円→2019年度…101.5兆円
  • 社会保障費:1990年度…11.6兆円→2019年度…34.1兆円

入ってくる税収が少ないにも関わらず、こんなにも多くのお金をばら撒いて良いのでしょうか?1990年度の公債残高(国の借金)は161兆円でしたが、2019年度の公債残高(国の借金)は897兆円にも達しました。平成30年を振り返ると、歳出が増大し、借金が膨張した時代だったと言えるでしょう。日本の財政がこんなにも悪化している状況で、果たして年金制度は持続可能なのでしょうか?

GPIF とは

GPIFという言葉を聞いたことがありますか?GPIFとは、私たちが将来受け取る国民年金と厚生年金の管理・運用を行っている機関です。正式には、年金積立金管理運用独立行政法人といい(Goverment Pension Investment Fund)の略で、GPIFと呼ばれています。現在、約160兆円の資産残高で世界第1位の年金基金となっています。日本政府も、少子高齢化が進み年金制度の危機的状況を、黙って指をくわえながら見ているだけではありません。私たちが納めた国民年金や厚生年金の保険料を、しっかりと運用してくれているのです。全く個人で資産運用をしていない人も、あなたが受け取る年金は、GPIFで運用されているわけです。もしも、預金でお金が貯まるのであれば、GPIFもわざわざ資産運用などする必要がありませんね。あなたが納めた保険料を預金のまま預かり、老後になったら年金として支給するはずです。しかし、現実はそんなに甘くはないのです。少しでも公的年金制度が持続するように、分散投資を行なっているのです。では、具体的にGPIFの運用方法を見てみましょう。

GPIFの運用方法

私たちが納めた保険料を、GPIFがどのように運用をしているのかをご覧ください。GPIFは、2014年に資産構成の大幅な見直しをしています。まず最初に、2013年までの基本ポートフォリオを見てみましょう。

2013年までは、国内債券60%・国内株式12%・外国債券11%・外国株式12%・短期資産5%の基本ポートフォリオで運用をしています。私たちの大切な年金ですので、海外よりも国内、株式よりも債券へと、極力リスクを抑えながら運用をしている様子が分かります。それでは次に、2014年以降の基本ポートフォリオを見てみましょう。

2014年以降は、国内債券35%・国内株式25%・外国債券15%・外国株式25%の基本ポートフォリオで運用をしています。以前と大きく異なる点は、国内よりも海外、債券よりも株式へと、積極的な運用方針に変わったことです。では、どうしてこのような運用方針の変更が行われたのでしょうか?それは、国内のゼロ金利では、債券運用では利益が取れず、経済成長率の低い日本株よりも、経済成長率の高い海外株式へ投資をし、私たちの大切な年金制度を少しでも長く持続するためです。しかし、冒頭お伝えしたように、少子高齢化が進んでいるため、これだけの改革を行っただけでは、日本の年金制度は続きません。日本政府も努力をしていますが、あなた自身も努力をする必要があるのです。

自分年金を活用しよう

給料も上がらず、増税ばかり…「将来の年金が不安だな」と思ったあなたは、今気付いただけでもチャンスです!日本政府は、自分年金を作りやすいとてもお得な制度を用意してくれています。そんなお得な制度を勉強し、活用するかしないかはあなた次第なのです。お得な自分年金制度の話をする前に、退職金に関してお伝えをしておきます。退職金で住宅ローンの返済を考えている人は要注意です。実は、この20年間で退職金は30%以上も激減しているのです。厚生労働省が発表した2018年の就労条件総合調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者(大卒以上)に支給された退職金は、平均1983万円でした。一方、1997年の同条件者に支給された退職金は、平均2868万円です。20年間で約900万円も減っているのです。どうして、退職金がこんなにも減っているのでしょうか?

給付から拠出へ

 

退職金が激減している理由は、いくつか考えられます。1つ目は、私たちの働き方の変化です。昔は、入社をした会社で定年まで勤め上げる終身雇用制が当たり前でした。勤続年数も長く会社への貢献度も高かった為、感謝の気持ちとして退職金も高かったのです。しかし現在は、転職するのは当たり前な時代です。勤続年数はかつてよりも短い為、退職金も減少していることが考えられます。そして、最も大きな理由は、企業がリスクを取らなくなったことです。企業にとって、社員の退職金を用意するのは簡単なことではありません。そこで、退職金制度をやめている企業も出てきています。福利厚生サービスで企業年金がある企業もありますが、ここでも大きな変化が出ています。昔は、企業年金の多くが確定給付型でした。あなたが受け取る企業年金の金額を、企業が運用をして用意する必要があるのです。しかし、企業は運用に失敗するリスクを取りたくない為、確定給付型年金から確定拠出型年金へ移行する企業が増えています。確定拠出型年金は、企業にとってはリスクはありません。あらかじめ決められた拠出額のみを用意し、運用は社員に任せている為です。

  • 確定給付年金:年金額…確定、運用責任…会社
  • 確定拠出年金:年金額…運用次第、運用責任…社員

つまり、企業年金に関しても、会社が用意してあげる時代ではなく、お金は拠出してあげるから自分で増やしてねという時代になったのです。しかし、将来自分が受け取る大切な企業年金にも関わらず、掛け金を知らない人が57%、残高を確認したことがない人が50%いるとのことです。本当に真剣に自分の将来を考えているのか疑問が残ります。

年金は自分で作る

年金は、もらう時代から自分で作る時代となりました。そこで、日本政府が用意しているお得な自分年金制度の紹介です。個人型確定拠出年金(iDeCo)を知っていますか?アメリカの確定拠出年金(Defined Contribution Plan)を参考にして、2001年10月にスタートした制度です。2017年1月に制度が改正され、公務員・専業主婦・全てのサラリーマンもiDeCo(イデコ)に加入できるようになったのです。”自分の老後は自分で守る”という目的で創設された制度ですので、お得な優遇がたくさんあるのです。

  1. 積立金が全額所得控除の対象である
  2. 運用する時に、運用益が非課税になる
  3. 受け取る時に、公的年金控除・退職所得控除の対象である

iDeCo(イデコ)は、税金を支払っている人は、加入すれば絶対に得になる制度です。基本的には、自分で運用をしなければならないので、運用で損失が出てしまう場合もあります。しかし、どうしても損失を出したくないという人は、iDeCoで預金を選べばいいのです。当然ですが、預金でお金が増えることはありませんが、所得控除の分だけあなたが支払う税金が減るのです。そして、通常、資産運用の利益は20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoでの運用益は非課税なのです。更に、年金を受け取る時にも控除の対象になるのです。iDeCoは、老後の年金のための制度なので、60歳まで引き出すことができない点には注意が必要です。しかし、引き出しができないということは、絶対にその金額だけは貯まっているということなのです。こんなお得な制度をぜひ活用してみてください。加入者による積立金の上限金額をまとめておきます。

iDeCo加入対象者と積立上限額

自営業者 年間81.6万円 月額6.8万円
専業主婦 年間27.6万円 月額2.3万円
公務員 年間14.4万円 月額1.2万円
会社員(企業年金なし) 年間27.6万円 月額2.3万円
会社員(企業型DC加入者で、他の年金制度なし) 年間24万円 月額2万円
会社員(企業型DC加入者で、他の年金制度あり) 年間14.4万円 月額1.2万円
会社員(企業型の確定給付年金のみ) 年間14.4万円 月額1.2万円

iDeCo(イデコ)は、20歳以上60歳未満の人が加入できます。高齢者の定年後の再雇用制度も進んでいるため、厚生労働省は、iDeCo(イデコ)の加入年齢を65歳未満へと引き上げることを検討しています。自分年金を作る手段としては、iDeCo(イデコ)の他に、NISA(ニーサ)や積み立てNISAなどの少額投資非課税制度も活用できます。こちらは、所得控除などの対象ではありませんが、運用益は非課税です。是非、お得な制度をしっかり活用してみて下さい。しかし、ただ闇雲に投資をしても儲かるわけではありません。そこで大切なのが、マネー教育なのです。これからは、自分のお金は自分で守る時代です。正しい資産形成を行うには、最低限の経済知識とファイナンシャル・リテラシーを身につける必要があるのです。このブログを読んで「家計の見直しや資産形成に関して相談したい」と思った方は、是非、お気軽に連絡を下さい。全国どこでも対応いたします。遠方のお客様は、zoomというアプリを利用して、お互いのパソコンの画面を見ながらコンサルを行います。マネージュでは、中立的なファイナンシャル・プランナーとして、マネー教育に特化したコンサルティングを実施しています。少しでも興味を持って頂けた方は、LINE@への登録と、セミナー、コンサルにお申し込み下さい。あなたのお役に立てるように、全力でサポートさせて頂きます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー/世界最大手、スイスのプライベートバンク勤務時代には、金融資産2億円以上の日本を代表する経営者、開業医、事業法人の資産管理を担当。現在は、一般の方から経営者、開業医などの富裕層まで、幅広い顧客にマネー教育に特化したファイナンシャル・プランニング業務を提供している。

目次
閉じる